『愛をください』が世に出たのは、1983年1月21日。彼女の通算5枚目となるオリジナルアルバム『あるばむ』のB面ラストを飾る楽曲として収録されました。当時のアイドル界では異例とも言えるコンセプトアルバムであり、A面を呉田軽穂(松任谷由実)と来生えつこ・来生たかおコンビ、B面をすべて松本隆が作詞を担当するという極めて贅沢な布陣で制作されています。
ここで注目すべきは、河合奈保子と松本隆の幸福な出会いです。松本隆による情感豊かで情景が目に浮かぶ言葉に、『愛をください』の作曲者である内藤慎也が哀愁を帯びたドラマティックな旋律を与え、服部克久による華麗なオーケストレーションが楽曲のスケールを決定づけました。シングルカットこそされなかったものの、アルバムのラストにふさわしい重厚な存在感を放ち、ファンの記憶に深く刻まれることとなりました。