かつては「見えない脅威」だった海底の異変は、今やかつてない精度で可視化されている。防災科学技術研究所が運用する「S-net(日本海溝海底地震津波観測網)」は、北海道沖から房総沖にかけての海底に張り巡らされた150カ所もの観測ノードにより、24時間リアルタイムで水圧変化と地震動を監視している。
気象庁はこの巨大な観測網からのデータを常時取り込み、プレート境界で発生する微小な地殻変動や津波の初期波形を即座に検知する体制を整えた。近年、東北沖から関東東方沖の海溝軸付近で観測される微小地震の震源分布は、過去の活動期とは異なる複雑な広がりを見せている。海底下深くで何が起きているのか。観測網が捉えるミリ単位の地殻のきしみは、次なる激震への警戒を緩めてはならないとする地球からのダイレクトなメッセージだ。