1990年代に入ると、彼はアクションだけに留まらず、人間模様の深淵を描くサスペンスドラマへと軸足を広げていく。その代表格と言えるのが、大沢在昌原作の金字塔『新宿鮫』シリーズだ。警察機構の歪みや犯罪心理が交錯するハードボイルドな世界観の中で、彼が見せた苦悩と冷徹さを併せ持つキャラクター像は、多くの視聴者の心に深く刺さった。
若き日のギラついた鋭さから、年齢を重ねた男の哀愁や渋みへと演技の幅を広げたこの時期の活躍は、彼の俳優としての評価を揺るぎないものにした。陰謀が渦巻くサスペンスの渦中で見せる一瞬の表情の変化や、言葉少なに背中で語る演技は、今なお語り草となっている。