真木蔵人の生い立ちを語る上で欠かせないのが、実母である女優・前田美波里との関係です。1968年に資生堂のサマーキャンペーンガールとして健康美で社会現象を巻き起こした前田美波里と、時代の寵児だったマイク真木。ふたりの結婚はまさに昭和芸能界のビッグカップル誕生として大々的に報じられました。
しかし、互いの多忙と価値観のすれ違いから1976年に離婚が成立。当時わずか3歳だった真木蔵人の親権は父親であるマイク真木が持つことになります。前田美波里は後に自著やドキュメンタリー番組において、愛する我が子を手放して舞台への復帰を選んだ当時の葛藤について、「母親失格だと自分を責め続けた夜が何度もあった」と胸中を吐露しています。
母の温もりを直接知らずに育った真木蔵人でしたが、彼が10代半ばで芸能界に足を踏み入れたことを機に、親子の運命は再び交錯します。映画監督や周囲の仲介を経て再会を果たしたふたりは、長年の空白を埋めるように表現者同士としてのリスペクトを深めていきました。後年にはCMや舞台での共演も果たし、確執を超えた成熟した母子関係を築き上げています。