伝統を重んじるイングランドフットボール界において、近年最も大きな議論を巻き起こしたのが大会レギュレーションの大胆な改革だ。長年親しまれてきた「引き分け時の再試合(リプレイ)」制度が、本戦の全ラウンドにおいて撤廃された。これにより、同点で90分を終えた場合は即座に延長戦およびPK戦で勝敗を決する完全決着方式へと一本化されている。
背景にあるのは、UEFAチャンピオンズリーグの試合数増加や国際大会の拡大に伴う過密日程の限界だ。マンチェスター・シティFCを率いるペップ・グアルディオラをはじめとするトップクラブの指揮官たちは、選手の健康維持とパフォーマンス保護の観点から日程緩和を一貫して訴えてきた。一方で、格上との再試合によるチケット収入や中継ボーナスが財政的な生命線となっていた下部リーグのクラブからは激しい反発の声も上がった。伝統の継承とグローバルな商業化のバランスを巡る議論は、今なおイングランドのフットボール界を揺るがし続けている。