映像作品における当事者の描写は、社会的な認識の形成に決定的な影響を与えてきた。世界的なヒットを記録したドラマ『グッド・ドクター 名医の条件』は、圧倒的な記憶力を持つ一方で独特の視線や静止したような表情を見せる主人公を描き、多くの視聴者に強いインパクトを与えた。
さらにNetflix等で配信される高品質な医療ドキュメンタリー番組は、フィクションが煽りがちな極端なステレオタイプを是正し、リアルな当事者の日常を映し出している。画面越しに見る固定化されたイメージと、実際の生活者のリアリティとの間には依然として乖離が存在する。ドラマの演技が見せる「特徴的な表情」だけに頼って実生活の人間を推し量ることは、重大な認知の偏りを生む危険性を孕んでいる。