本作のジャンルは、観客の精神をじわじわと追い詰める重厚なサスペンス・スリラーだ。物語のタイトルである『フェニックス』は、崩壊と再生、そして逃れられない宿命を象徴しているという。登場人物たちが追いつめられ、裏切りと疑惑が渦巻く極限状態の中で、人間の業(ごう)が剥き出しになっていく。
舞台裏の雰囲気もまた、作品のトーンそのものだった。極寒の夜間撮影が続く中、撮影チームは息を殺し、一瞬の表情の変化も見逃さないようカメラを回し続けた。重苦しい静寂と圧倒的な緊張感が交錯する現場の空気感は、画面を通して間違いなく観客へと伝播するはずだ。