プロ棋士の真の実力を測る指標とされるのが順位戦である。C級2組からスタートし、最上位のA級に到達できるのは、全棋士の中でもわずか10人しかいない。橋本崇載はその狭き門をくぐり抜け、見事にA級昇級を果たした。これは彼が純粋な技術において、間違いなく世界トップクラスの頭脳を持っていた証明にほかならない。
盤上での彼は、直感に優れながらも極めて緻密な終盤力を発揮した。相手の心理の隙を突く鋭い勝負勘は、羽生善治をはじめとするタイトルホルダーたちをも大いに苦しめた。ファンを魅了する派手なパフォーマンスの裏には、深夜まで研究に没頭する泥臭い努力と、勝利に対する執念が存在していたのだ。しかし、頂点に立ったからこそ味わう苦悩と孤独もまた、彼の精神を次第に蝕んでいくこととなった。