敷地の取得から建物の建設、特注設備の導入に至るまで、投じられた総工費は数億円規模に達すると見られている。だが、この巨額の投資は自己顕示のためではない。かつて自身が若手時代に先輩たちの家に集まり、芝居論を夜通し語り合った原体験を、次世代の役者たちへ還元するための「現代の梁山泊」を創り上げることこそが真の目的だった。
広々としたアイランドキッチンには、何人もの仲間が囲める巨大なダイニングテーブルが備え付けられている。芝居の稽古を終えた役者たちがそのまま食事を共にし、台本を片手に議論を交わす。自宅でありながら、日本映画や舞台の未来を形づくる実験場としての役割を兼ね備えている点が、他のセレブ邸宅とは一線を画す決定的な違いだ。