インターネット上の掲示板や一部の誤った解説記事において、「丸で囲まれた家紋(丸に〜)は本家ではなく分家の紋だから格が落ちる」「平民が勝手に作った紋だから家格が低い」といった言説が散見されます。しかし、家紋学・歴史学の観点から見て、これらの言説は明白な誤解です。
まず「外周の丸」についての真相です。江戸時代、武士や富裕な町人が礼装に家紋を染め抜く際、輪郭線を円で囲むことで「柄が引き締まり、染め付けが容易になる」という職人技法上の理由から丸付き紋が定着しました。また、本家と分家を区別するために丸を付けるケースは確かに存在しましたが、それは「優劣」ではなく単なる「系統の識別記号」に過ぎません。
さらに、明治時代の「平民苗字必称義務令」以降に庶民が家紋を登録した際、由緒正しい神社に縁のある柏紋や、縁起の良い子孫繁栄の紋を選んだ家庭が多いことも事実です。しかしこれは「勝手に作った偽物」ではなく、祖先が神仏への祈りを込めて正式に選び、150年以上にわたり受け継いできた正当な我が家の象徴です。家格やランクといった序列意識に惑わされる必要は一切ありません。