ネット上の情報では「地方へ引っ越せば誰でも100万円が振り込まれる」かのような誇大表現が散見されますが、これは明白な誤りです。移住支援金を受給するためには、移住後の生業について以下のいずれかの要件を厳密に満たさなければなりません。
1つ目は「地域就業マッチング枠」です。各都道府県が開設している公式の移住支援金対象マッチングサイトに掲載された「求人情報」を通じて応募し、正規雇用として採用される必要があります。大半は地元の中小企業や人手不足が深刻な医療・介護・製造業などであり、東京時代と比べて提示年収が20〜30%ほど低下するケースも少なくありません。一般的な求人サイトやダイレクトリクルーティング経由で内定を得ても、都道府県のマッチング対象求人でなければ1円も支給されません。
2つ目は「テレワーク要件枠」です。都市部の企業に所属したまま地方へ移住するスタイルであり、年収を維持できるため近年最も申請希望者が急増しています。しかし、所属企業からの「辞令」や「転勤命令」による移住は対象外となります。あくまで「自身の意思による移住」であり、かつ現地で日常業務を完結できる環境が整っていることが要件です。
3つ目は「専門人材枠・関係人口枠」です。内閣府のプロフェッショナル人材事業や先導的人材マッチング事業を活用した高度人材、あるいは各自治体が条例で定める「過去にふるさと納税を継続して行っていた」「地域振興イベントに深く関わっていた」などの要件を満たした者が対象となります。自治体独自色の強い枠組みであるため、要件の解釈が分かれる論点でもあります。
4つ目は「起業支援金枠」です。地域の課題解決につながる事業計画書を作成し、都道府県が実施する公募審査会で採択される必要があります。採択率は地域によって30〜50%程度と決してイージーではなく、事業開始後の実績報告や領収書の厳格なチェックなど、煩雑な事務負担が重くのしかかります。