「スキンケアと同じように、毎日リップスクラブを使えば常にぷるぷるの唇をキープできる」という考えは、皮膚科学の観点から見ると極めて危険な思い込みです。日本化粧品技術者会などの学術知見でも指摘されている通り、唇の皮膚構造は顔の他の部位とは根本的に異なります。
一般的な顔の皮膚の角質層が約10〜20層あるのに対し、唇の角質層はわずか数層(頬の約3分の1の薄さ)しかありません。さらに、皮脂膜を形成するための皮脂腺や汗腺がほとんど存在せず、水分を自ら保持する機能が極めて脆弱です。その代わり、ターンオーバーの周期は全身の中で最も早く、およそ3日から5日程度で新しい細胞へと入れ替わります。
この極薄のバリアに対してスクラブの微粒子による物理的摩擦を毎日与え続けると、剥がれるべきではない未熟な角質まで無理やり削り落としてしまいます。その結果、表皮がむき出しになり、慢性的な炎症、極度の乾燥、色素沈着を引き起こす悪循環に陥るのです。製品ごとの処方設計にもよりますが、一般的なリップスクラブの適切な使用頻度は「週に1〜2回」、乾燥が特に気になる季節であっても間隔を3日以上あけるのが安全圏といえます。