ジュディマリの楽曲を語る上で見逃してはならないのが、バンド内部で起きていた「音楽的緊張感」です。『THE POWER SOURCE』前後のJUDY AND MARYは、商業的なメガヒットを記録する一方で、メンバー各自の音楽的エゴと表現欲求が激しく衝突し始めた時期でもありました。
「くじら12号」は表面的には極上のJ-POPに仕立て上げられていますが、その骨格は極めてオルタナティヴであり、パンク・ロックの構造を持っています。TAKUYAによるギターワークは、一般的な歌モノのバック演奏の枠を完全に踏み越えており、カッティング、アルペジオ、空間系エフェクターの巧みなスイッチングが隙間なく敷き詰められています。
ボーカルとギターが主導権を奪い合うかのような緊張感。これこそが、単なる「可愛いガールズポップ」に終わらないジュディマリの凄みでした。YUKIの天真爛漫なボーカリゼーションは、TAKUYAの尖りまくったギターアレンジという高いハードルを軽々と飛び越えるための必然的な進化であり、二人の作家性のせめぎ合いがあったからこそ、「くじら12号」は奇跡的なテンションを保ち続けています。
【プロの結論】音楽批評の視点から見る「くじら12号」が響く人・そうでない人
本楽曲をより深く楽しむために、批評的観点から向いているリスナーと慎重になるべきタイプを分類しました。
【特におすすめできる人】
- 日常に閉塞感や停滞感を抱えている人:理屈抜きの疾走感と「ここではないどこかへ連れて行ってくれる」圧倒的なドライブ感が、強烈な精神的デトックスになります。
- 90年代オルタナ/パワーポップの緻密なバンドアンサンブルが好きな人:左右に振られたギターのフレーズや手数の多いドラミング、唸るベースラインなど、楽器演奏のディテールを聴き込むほど新たな発見があります。
【ややミスマッチな人】
- 落ち着いたローファイ・サウンドやチルアウト系BGMを求めている人:情報量が極めて多く、音圧とアタック感が強いため、リラックス目的のリスニングには刺激が強すぎる場合があります。