幕張メッセ国際展示場4〜6ホールにおける最大の関心事は、チケット発券時に判明するブロック番号と「実際の見え方」の相関関係です。一般的なアリーナ会場にあるような固定の階段状スタンド席は、この展示ホール群には一切存在しません。足元はどこまでも平坦なコンクリートフロアであり、仮設パイプ椅子が並ぶ全席指定公演であっても、立ち位置が区切られたスタンディング公演であっても、すべての観客が同じ高さの地平面に立つことになります。
典型的な幕張メッセ国際展示場ブロック配置図を見ると、最もポピュラーなのは短辺側(例えば4ホール側または6ホール側)に巨大メインステージを組む「エンドステージ型」と、3ホールの中央(5ホール中央部)にステージを据える「長辺側ステージ型」、さらには中央にセンターステージを設置する特殊構成に分かれます。最も使用頻度が高いエンドステージ型の場合、前から順にA、B、C、D、E、Fといった具合にアルファベット順で後方ブロックへと展開されます。
現場取材と来場者の測地データによれば、ステージ最前列から最後方のE〜Fブロック後端までの距離は実に約100メートルから120メートルに達します。この距離感において、完全平面という構造が牙を剥きます。人間の頭部(平均高約20〜25センチ)が幾重にも重なることで、身長165センチ前後の観客であっても、前方に背の高い観客が1人立つだけでステージ上のアーティストの腰から下が完全に視界から消え去ります。
SNSや知恵袋などで「Cブロック以降は人の後頭部を見に行ったようなものだった」「スクリーンしか見えず、ライブビューイング会場にいる気分だった」という過酷な手記が後を絶たないのは、誇張でも何でもありません。特に身長155センチ以下の小柄な観客の場合、Bブロック中盤以降であっても「肉眼でメンバーを捉え続けることは物理的に不可能に近い」というのが冷徹な現実です。この視界のブラインドを打破するには、後述する機材の選定や立ち位置の微調整といった現場戦術が必須となります。