天神屋台の歴史を語るうえで絶対に外せない存在が、昭和43年(1968年)創業の老舗「小金ちゃん(こきんちゃん)」である。今や博多を代表するB級グルメとして全国区となった「焼きラーメン」は、この店の初代店主が、茹でたラーメンの麺に濃厚な豚骨スープと特製ウスターソースを絡め、鉄板で豪快に炒めたことから誕生した。
「小金ちゃん」の焼きラーメンは、どて焼きの甘辛い煮汁を隠し味に加えることで、芳醇なコクと香ばしさを極限まで引き出している。週末ともなると開店前から20人以上の行列ができることも珍しくなく、待ち時間は平均で40分から1時間を超える。行列を回避するには、平日18時の開店直前を狙うか、客の第一陣が入れ替わる20時前後の隙間時間を突くのが現場の鉄則だ。
一方、オリジナリティあふれる創作鉄板料理で連日盛況なのが「喜柳(きりゅう)」である。もちもちの生地で餃子の餡を包んで鉄板で平たく焼き上げる「もちもち餅餃子」や、博多名物の明太子をアレンジした料理が揃い、屋台とは思えない多彩なメニュー構成で訪れる者を唸らせる。大将の快活な接客とテンポの良い調理パフォーマンスも、同店が不動の人気を誇る理由の一つだ。
さらに、屋台カルチャーの進化を体現しているのが、フランス出身のシェフが腕を振るうフレンチ屋台「Chez Rémy(シェ・レミ)」をはじめとする欧風屋台群である。エスカルゴや手作りテリーヌ、自家製キッシュをワインとともにリーズナブルに楽しむスタイルは、従来の赤提灯イメージを覆し、2026年現在も国内外のメディアから注目され続けている。本格的な博多ラーメンと極上の牛サガリステーキを両立させる「ともちゃん」など、肉料理に特化した名店も深夜の胃袋を掴んで離さない。