猪瀬直樹氏の半生を語る上で欠かせないのが、2013年7月に脳腫瘍のため65歳で亡くなった前妻・ゆり子夫人の存在です。信州大学で出会った二人は上京後、猪瀬氏が無名の下積み作家だった苦しい時代を共に乗り越えました。
ゆり子夫人は学習塾を開いて家計を支え、猪瀬氏が『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するまでの長い年月を献身的に支え続けました。この温かな家庭の中で息子も愛情深く育てられました。
ゆり子夫人の闘病中、猪瀬氏は都知事としての激務をこなしながら懸命な看病を続け、息子もまた母を支えるために寄り添いました。最愛の妻を失った悲しみは深く、猪瀬氏は後にその喪失感と愛の軌跡を著書や追悼手記で率直に綴っています。