数あるローカルチェーン弁当の中でも、としまや弁当の「チャーシュー弁当(通称:チャー弁)」が放つ存在感は異色です。蓋を開けた瞬間に目に飛び込んでくるのは、全面を覆い尽くす厚切りの豚バラチャーシュー5枚と、箸休めの紅生姜、そしてわずかな漬物のみ。過剰な飾り気や野菜の彩りを一切排したそのヴィジュアルは、潔いまでの「直球勝負」を感じさせます。
最大の武器は、創業以来継ぎ足しで熟成されてきた門外不出の甘辛醤油ダレです。関東風の濃口醤油をベースに、しっかりとした甘みと豚肉の旨味が溶け込んだタレは、非常に粘度が高く濃厚。店内の厨房で大鍋を使ってじっくりと煮込まれた豚バラ肉は、余分な脂を落としつつも赤身はホロホロと崩れ、脂身は舌の上でトロリととろける絶妙な柔らかさに仕上げられています。
さらに現場の観察で見逃せないのが、「タレの染みた白飯」の存在です。注文を受けてから、あるいは店内で随時炊き上げられる千葉県産米の上に、タレをたっぷりくぐらせたチャーシューが敷き詰められます。肉の脂とタレが純白の米粒一粒一粒にコーティングされ、弁当箱の底に達する頃には、ご飯そのものが独立したご馳走へと昇華しています。この「肉・タレ・米」の三位一体が生み出す炭水化物と脂質のシナジーこそが、長距離ドライバーや現場作業員、早朝の東京湾フェリー・アクアラインを渡ってきた行楽客の胃袋を鷲掴みにし、リピーター化させる決定的な要因です。