アナウンススクールや声優養成所の現場で指導にあたる講師陣は、一様に「初めから早く読もうとすることは百害あって一利なし」と指摘します。調音器官(舌・唇・軟口蓋)の可動域を広げ、安定した音声を獲得するための正しい練習手順は以下の3段階ステップです。
ステップ1:母音分離トレーニング(テンポ:超スロー)
子音に頼る発声を防ぐため、すべての言葉を母音(あ・い・う・え・お)だけで発声します。例えば「せっしゃおやかた」であれば「えっあ・おあああ」と声に出し、口の形を縦横に大きく動かします。これにより、不明瞭な滑舌の主原因である「口の開き不足」を物理的に解消できます。
ステップ2:メトロノームを用いた等間隔発声(テンポ:BPM 60〜80)
早口言葉パート(武具馬具、菊栗など)を、1拍に1文字または2文字を均等に乗せて読み進めます。リズムを機械的に固定することで、苦手な音の組み合わせ(「きゃ」「ぎゃ」などの拗音や「なまごめ」等の連音)で舌がもたつく箇所を正確に自己診断できます。
ステップ3:情景描写とブレスの完全同期(全文所要時間:約6〜7分)
全文を息苦しくならずに読み切る鍵は、ブレスの位置を事前に台本へ固定することです。肩を上げず、下腹部を緩めて瞬時に空気を取り込む「ショートブレス」を習得することで、最後まで声の張りを失わずに読み切ることが可能になります。