『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』結末の真相と影の正体

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』結末の真相と影の正体

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』結末の真相と影の正体を徹底追究! 知っておきたい 情報と解説を分かりやすく展開します。

本作の最大の魅力であり、初読者を戸惑わせる要因でもあるのが、章ごとに交互に入れ替わる二つの異なる世界の描写です。これら二つの世界はどのように対置され、どのような関係を結んでいるのか。以下の詳細な比較表でその構造を整理します。

項目ハードボイルド・ワンダーランド世界の終わり編集部の構造分析主人公の一人称「私」(35歳の計算士)「僕」(街に侵入した新参者)都会的で醒めた「私」と、記憶を失い無垢な「僕」の対比。舞台・世界観近未来の巨大都市・東京(地下水路、高層ビル)高い壁に囲まれた静止した中世風の街ハイテク情報化社会と、時間の止まった内省的閉鎖空間。敵対勢力・脅威記号士(ファクトリー)、地下の「やみくろ」冷徹な「門番」、冬の訪れ、自我の完全消滅外界の物理的暴力と、内界の精神的忘却という二重の危機。象徴的アイテム一角獣の頭骨、ペーパークリップ、ウイスキー生きている一角獣、古夢の収められた頭骨、アコーディオン「頭骨」が二つの世界を物理的・概念的につなぐ架け橋となる。意識の階層表層意識(現実・身体のレイヤー)深層意識(脳のブラックボックス・内面レイヤー)表層の活動停止に伴い、深層意識が主観的永劫を獲得する。

奇数章の「私」は、政府系機関「システム」に所属する凄腕の暗号処理者である計算士です。対立する民間犯罪組織「ファクトリー」の記号士によるデータ窃盗に対抗するため、自らの脳内に埋め込まれた不可視の回路を使って情報を暗号化(シャッフリング)する任務を請け負います。しかしその技術こそが、天才科学者である老博士によって仕掛けられた、主人公の脳内意識への不可逆的な侵入経路だったのです。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。