専門店のカウンターで揚げられる天ぷらが、冷めても軽やかな歯ざわりを維持できる秘密は「衣のグルテン抑制」と「粉の配合比率」にある。家庭で天ぷら粉を使わずにプロ級の衣を作る場合、薄力粉8に対して片栗粉2を合わせるブレンドが極めて効果的だ。
片栗粉(馬鈴薯デンプン)は薄力粉に比べて熱凝固が早く、油の中で硬質で薄いガラス状の皮膜を形成する特性がある。これをごく少量ブレンドすることで、ナスの水分が外に出て衣を湿らせるのを防ぎ、時間が経っても崩れないサクサクとした骨格を作り出すことができる。
衣液を作る際は、ボウルに冷水を入れ、そこに卵黄を溶いてからふるった粉類を一気に加える。泡立て器でぐるぐるとかき混ぜる行為は厳禁だ。グルテンが過剰に形成され、天ぷらではなくフリッターやホットケーキのような分厚い仕上がりになってしまう。太めの菜箸で「突くように」粗く混ぜ、粉のダマが表面にぷかぷか浮いている程度で止めるのがプロの現場の鉄則である。