不可説不可説転という名称は、唐代に実叉難陀(じっしゃなんだ)が漢訳した大乗仏教の経典『大方広仏華厳経(八十華厳)』の巻第四十五「心王菩薩問阿僧祇品」に由来します。
この経典の中で、心王菩薩が釈迦如来に対して「仏の境地や世界の広大さを数える単位」を問いかけたのに対し、釈迦が答えた数詞の体系がベースとなっています。
経典内の計算ロジックは、基準となる「倶胝(くてい=$10^7$、1000万)」からスタートします。倶胝の2乗を「阿庾多(あゆた)」とし、その2乗を「那由他(なゆた)」とし……というように、直前の数を次々に二乗していく「自乗乗算の連鎖」が122段階にわたって繰り返されます。
「説くべからず(言葉で説明できない)」という意味の「不可説」を二乗し、さらにそれを繰り返した果てに到達する「不可説不可説転」は、単に数を競うためのものではなく、「仏の智慧や救いの功徳、宇宙の無限の広がりは、人間の言語や思考(説)を完全に超越(転)している」という宗教的真理を象徴するために考案されたものです。