音楽座ミュージカルの最大の特徴であり、他劇団と一線を画す要因が、演出家・芹川藍(せりかわ あい)を中心とする独自の創作メソード「ワームホールプロジェクト」です。
通常の商業演劇では、演出家が決定した動線や解釈に役者が従うトップダウン形式が一般的です。しかし、音楽座ミュージカルにおける創作は、演出家、プロデューサー、音楽家、役者、スタッフ全員がテーブルを囲み、作品のテーマについて徹底的な対話を重ねることから始まります。
「なぜこの人物はここでこの言葉を発するのか」「自分自身の人生において、この感情はどう響くのか」という深層心理の領域まで役者自身が掘り下げます。宇宙の異なる地点を直結する時空のトンネルに例えて名付けられた「ワームホール」の名の通り、創作者全員の潜在意識を接続し、一つの舞台空間に集約させる作業です。この緻密なプロセスの結果、舞台上に立つ役者は単なる「演技」を超え、真実味を帯びた人間の叫びとして観客の心に直接訴えかけることが可能になります。