平成の30年間において、なぜ日本の首相は「1年前後で交代する使い捨てのリーダー」と揶揄される事態に陥ったのでしょうか。当時の政治記者たちの取材記録や政治学の知見を統合すると、3つの明確な要因が浮かび上がります。
第1の要因は、参議院における「ねじれ国会」の常態化です。衆議院で過半数を持っていても、参議院で野党が多数を握ると法案が成立せず、国政が完全に停滞します。第1次安倍内閣、福田康夫内閣、麻生太郎内閣、そして民主党政権期の菅・野田内閣はいずれもねじれ国会による問責決議や法案審議の拒否に直面し、消耗戦の末に退陣を余儀なくされました。
第2の要因は、小選挙区制の導入に伴う「風(空気)」の影響力増大です。小選挙区制は得票率のわずかな変化で議席数が大きく変動するため、与党議員は自らの当落を「現首相の人気」に極度に依存するようになりました。首相の支持率が下がると、党内から「この首相の顔では次の選挙を戦えない」という引き降ろし圧力が急速に強まる構造が定着したのです。
第3の要因は、テレビのワイドショー化と即時世論調査の普及です。報道各社による毎月の内閣支持率調査が数値化され、支持率が30%(いわゆる危険水域)を割り込むと、メディアが一斉に「退陣カウントダウン」を報じる劇場型の政治報道が定着しました。これにより、政権が中長期的な課題に腰を据えて取り組む体力が奪われていきました。