自由民主党および日本政府の歴史を振り返る上で、安倍政権から菅政権へと至る道筋は、戦後政治における最も強固な権力基盤の一つを作り上げた時代だった。当時の政治ジャーナリズムは、この長期政権の内情を様々な角度から分析してきたが、菅氏の言葉によって解明されたのは権力の深層にある人間的な絆だった。
権力闘争が渦巻く永田町において、真の信頼関係を構築することは容易ではない。菅氏は派閥に頼らずたたき上げで頭角を現した政治家であり、対照的に安倍氏は政治家一族のサラブレッドであった。生い立ちも政治的手法も異なる二人が、国家のビジョンを共有し、支え合った事実は、政治における友情のあり方を改めて考えさせる。
ジャーナリストたちの間でも、この弔辞は「昭和・平成の政治劇の延長線上にある屈指の名スピーチ」として位置づけられている。単なる政権批判や称賛の域を超え、国を背負う者たちの覚悟と悲哀が描かれていたからだ。