キリムとは、主に中東から中央アジア、北アフリカにかけての遊牧民・半農半牧民によって古くから織り継がれてきた「毛足(パイル)のない平織りの織物」を指します。ペルシャ語の「ゲリム(Gelim)」やトルコ語の「キリム(Kilim)」を語源とし、アナトリア(現代のトルコ)を中心にイラン、アフガニスタン、コーカサス地方など広大なシルクロード一帯で独自の発展を遂げてきました。
最大の特徴は、縦糸に横糸をしっかりと打ち込んで織り上げる「平織り(スリット織り/綴れ織り技法)」にあります。表面に毛羽立ち(毛足)がなく、さらりとした平坦なテクスチャーを持つため、重量が非常に軽く、その多くが裏表のないリバーシブル仕様として使用できる実用性を備えています。
歴史的に見ると、キリムは単なる床の敷物にとどまりません。過酷な自然環境を移動する遊牧民にとって、キリムはテントの床や間仕切り、荷物を運ぶ袋(ホルジン)、ラクダや馬の鞍覆い、さらには「花嫁の婚礼道具(持参金)」として女性たちの手で一枚一枚丹精込めて紡がれ、織られてきた生活必需品であり、家族の誇りそのものでした。