実力主義で気性の荒い猛者が揃う「柱」たち。風柱・不死川実弥のように、当初はお館様に対して反抗的な態度を取った者も少なくありませんでした。それでも彼らが一様に膝を屈し、実の父のように崇拝した背景には、耀哉が持つ圧倒的な人間性と、天性とも呼べる特殊な声の力が存在します。
作中で無惨の口からも語られた通り、産屋敷耀哉の声には「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」が宿っていました。このゆらぎは、小川のせせらぎや木漏れ日、心臓の鼓動などに含まれる規則性と突発性が調和した波形であり、聴く者の自律神経を整え、心地よい高揚感と深い安らぎを与える心理効果を持っています。
アニメ版において耀哉の声を演じた声優・森川智之氏は、インタビュー等で「決して声を張り上げず、慈愛と包容力を前面に出しながら、言葉の重みを届ける芝居」を追求したと明かしています。怒号や恫喝で人を支配する無惨とは対極に、語りかける声そのものが相手の心理的警戒を解き、深い安心感を与える設計となっていたのです。