ネット上の掲示板やSNSでは長年、「〇〇はアッコを怒らせて干されかけた」「アッコの怒りを買って楽屋で正座させられた」といったセンセーショナルな噂が絶えません。しかし、怒られた噂の真相を取材関係者の証言や当時の番組記録から精査すると、その実像はまったく異なる様相を見せています。
象徴的なのがコロッケのエピソードです。かつて日本テレビ系『ものまねバトル』などで顎を極限までしゃくれさせ、目をひん剥いて歌うコロッケの姿に対し、和田アキ子がカメラの前で激怒したシーンは語り草となっています。しかし、関係者によると、これは番組を成立させるための綿密な「お約束」でした。コロッケはネタを披露する前、必ず和田アキ子の楽屋を訪れて深々と頭を下げ、直筆の手紙や手土産を持参して「今日も失礼なマネをさせていただきます」と仁義を切っていたといいます。
和田アキ子自身、自著や特番のインタビューでこう述懐しています。
「ものまねされるっていうのは、それだけ世間に名前と顔が浸透してる証拠やから、芸人としてありがたいこと。ただな、愛のない雑なイジりだけは絶対に許さへん。コロッケにしてもシャチホコにしても、私の歌を誰よりも聴き込んで、練習してくれてるのが分かるから嬉しいんよ」
ネット上で流布する「激怒説」は、テレビ画面上の迫力あるやり取りを視聴者が額面通りに受け取ってしまった結果生じた誤解です。現場で本当に怒りを買うのは、練習不足でクオリティが低く、単に先輩を小馬鹿にしたような安易なネタに対してのみであり、敬意を持った本格派の芸人に対しては、むしろ温かい眼差しを向け続けています。