SNSや知恵袋などで頻繁に飛び交うのが「大谷翔平の試合があるのになぜNHKで中継がないのか?」という疑問です。これには単なる見落としではなく、放送業界の構造的な要因と明確な契約ルールが存在します。主な原因は以下の3つの壁に集約されます。
第1に、NHKが保有する年間放映権の試合数上限です。NHKがMLB機構と結んでいる放映権契約には、シーズン中に放送できる総試合数の上限が厳格に定められています。シーズン終盤の優勝争いや10月のポストシーズン中継に枠を残しておく必要があるため、シーズン前半から中盤にかけて意図的に中継を行わない「休養日」が設定されます。
第2に、米国現地プラットフォームによる独占配信権(Exclusive Rights)の問題です。米国の金曜夜に行われる「Friday Night Baseball」(Apple TV+独占)や、日曜朝の特定カード(Roku/Peacock等)、あるいはESPNの「Sunday Night Baseball」などにドジャース戦が指定された場合、世界的な独占配信権が優先され、NHKを含む他国のテレビ局は生中継の映像信号を取得することが法的にできません。
第3に、公共放送としての国内報道優先原則です。平日の午前中に国会中継(予算委員会など)が入った場合や、台風・地震などの緊急災害報道が発生した場合、NHK総合はもちろんのこと、BS波であっても報道特別番組への差し替えが行われます。これらはNHKの放送ガイドラインに基づくものであり、「MLB放送を軽視している」というネット上の噂は明らかな誤解といえます。