いま、日本人の死の風景は激変している。文化庁が発表する宗教年鑑を見ても明らかなように、地域の寺院離れや檀家制度の形骸化は確実に進行中だ。核家族化、墓じまい、直葬の急増。かつて地域共同体の中心だった寺院は、維持の危機に立たされている。
この激動のなかで急拡大した終活・葬儀産業は、かつてブラックボックスだった戒名授与のシステムを白日の下に晒した。インターネット仲介業者による「定額戒名」が普及し、院号すらも数十万円のパッケージ料金で販売される時代となった。伝統を重んじる僧侶側からは「信仰の安売り」との批判が渦巻く一方、不透明な高額お布施に疑問を抱く消費者からは熱烈な支持を集める。伝統の権威と市場の合理主義が、いま激しく衝突している。