誰でも失敗せずに美しいチューリップを作る最大の鍵は、キッチンバサミの刃を入れる「最初の数ミリ」にある。多くの人が包丁で力任せに削ごうとして肉を破いてしまうが、関節の細い側にある腱(けん)をハサミでぐるりと全周カットするのが最短ルートだ。骨に沿って刃先を滑らせ、骨肌が見えるまで筋を断ち切る。あとは親指と人差し指で肉をぐっと根本へ押し下げるだけで、まるで靴下を脱がせるように一瞬で丸い肉の塊が出来上がる。
成形後のジューシーさを保つ秘密は、ブライン液(塩分濃度3%の塩水)への15分漬け込みにある。手羽元はもともと水分が抜けやすい部位だが、このひと手間で繊維の奥まで水分が保たれ、揚げた際のパサつきを完全に遮断できる。下味をつける前に骨の断面に出る余分な血や水分をペーパーでしっかり拭き取ること。このわずかな手当てが、冷めても肉汁が溢れる驚きの仕上がりを生む。