かつて焼き鳥といえば、仕事帰りのサラリーマンが一杯やるための「安くてうまい大衆食」の代名詞だった。しかし今、そのイメージは劇的な変貌を遂げている。部位ごとにミリ単位でカットを変え、紀州備長炭の火力を自在に操る職人たちの手技は、海外のトップシェフからも「炭と肉の極限芸術」と称賛を浴びる。
予約困難とされる名店では、鶏の仕込みから提供タイミングまでが完璧に計算され、ワインやクラフト日本酒とのペアリングを楽しむコース仕立てが主流だ。敷居が高くなったわけではない。むしろ、素材の良さを極限まで引き出す探求心に、舌の肥えた人々が惜しみない拍手を送っているのだ。