角振の魅力は食だけにとどまらない。奈良筆や奈良墨、麻織物といった古くからの伝統工芸を現代のライフスタイルに合わせて再解釈する若手職人たちの工房が、この路地裏には集積している。
あるセレクトショップでは、伝統的な奈良晒(ならざらし)の技術を用いたミニマルなウェアやインテリア雑貨が展示・販売されている。店内では職人が実際に織り機を動かす音が心地よく響き、訪れた人々は制作過程を間近で見学しながら買い物を楽しむことができる。
量産品にはない温もりと、何世代にもわたって継承されてきた手仕事の確かさ。工芸の魅力を直接肌で感じられる体験型の空間づくりが、物消費から「体験・コト消費」へとシフトした現代の旅行者の心に深く刺さっている。