二人の関係を語る上で欠かせないのが、2007年に放送されたTBSテレビの金曜ドラマ『歌姫』だ。昭和の土佐清水を舞台に、記憶喪失の男・四万十太郎と、彼を一途に思い続ける少女・岸田鈴の切なくも力強い愛を描いたこの作品は、単なるラブストーリーの枠を超えた人間ドラマとして熱狂的な支持を集めた。
主演を務めた長瀬智也の泥臭くも圧倒的な求心力と、ヒロインを演じた相武紗季の健気で瑞々しい演技。現場での二人は、役柄そのままに濃密な信頼関係を築いていたという。制作スタッフの間でも「カメラが回っていない時間でも二人の空気感が際立っていた」と語り継がれるほど、その化学反応は奇跡的な完成度を誇っていた。作品が持つ普遍的な哀愁と情熱は、演じ手である二人の魂のぶつかり合いによって生まれたものだった。