米国ペンシルベニア大学の研究チームがかつて行った有名な実験がある。被験者に不安に思っていることを記録してもらい、その後の経過を追跡したところ、実際にその懸念が現実になった割合は極めて低かった。
このメカニズムは、人間の進化の歴史と深く結びついている。原始の時代、猛獣や敵対部族の襲撃から生き延びるため、人類は「最悪の事態」を想定する個体ほど生き残りやすかった。つまり、不安を感じる力は生存のための優秀なシステムだったのだ。
しかし、物理的な命の危険がほとんどない現代において、このシステムは空回りしている。脳の扁桃体が暴走し、日常の些細な人間関係や仕事のミスを、まるで「死の危機」であるかのように錯覚してしまう。