なぜ「ちびっこカウボーイ」はこれほどまでに人の心を惹きつけるのか。その秘密は歌詞と旋律の細部へのこだわりに隠されている。歌詞を手掛けたのは、日本の児童文学や作詞界に多大な足跡を残した阪田寛夫だ。「ちびっこ」という等身大の目線と、「カウボーイ」という果てしないロマン。子どもが箒や棒切れを馬に見立てて駆け回るごっこ遊びの衝動が、見事に言語化されている。
さらに、作曲を担当した山本直純による旋律の工夫も見逃せない。クラシックから映画音楽まで幅広く手掛けた天才的なセンスが、カントリー音楽の要素を日本の子どもの耳に馴染む形へと再構築した。ただ明るいだけでなく、どこか郷愁を誘うマイナーコードの挟み込みや、サビへ向かって一気に駆け上がる転調の妙。子どものための音楽でありながら、妥協のない本格的な音楽構造が組み込まれている。