多額のギャラを得ているはずの人気芸能人が、なぜ数百万円をポンと払ってインプラントにせず、あえて部分入れ歯や審美義歯を選ぶのでしょうか。そこには、エンターテインメント業界特有の過酷なスケジュールと、容姿を売るプロフェッショナルならではの現実的な事情が存在します。
第1の理由は「ダウンタイム(治療期間と腫れ・内出血)の完全回避」です。インプラント手術を行う場合、顎骨へのドリル切削や人工歯根の埋入に伴い、数日から1週間程度は頬が腫れたり内出血が生じたりします。連日のテレビ収録や舞台、CM撮影を抱える売れっ子にとって、顔の変形や収録ストップは数千万円単位の損害につながるため、メスを入れない部分入れ歯が圧倒的に安全な選択肢となります。
第2の理由は「顎の骨量不足と体質的制約」です。不規則な生活や過去の歯周病放置により顎の骨が痩せている場合、骨造成手術(サイナスリフト等)が必要となり、完成までに半年から1年以上の歳月を要します。骨が薄くインプラントのリスクが高いケースでは、安全性を最優先して高性能な義歯が選ばれます。
第3の理由は「役作りや年齢変化への可変性」です。俳優の場合、役柄によって歯並びや口元の影を調整する必要に迫られることがあります。一度埋め込むと位置を変えられないインプラントと異なり、義歯であれば微調整や作り直しが容易です。
さらに「滑舌・発声への影響を即座にリセットできる点」や「万が一の紛失・破損時にもスペアで即応できるバックアップ体制の作りやすさ」も、芸能関係者が部分入れ歯を支持する強力な動機となっています。