三重県鳥羽市相差町に位置する鳥羽神明神社 石神さん(正式名称:神明神社 境内社・石神社)は、古来より海の安全と豊漁を祈る海女(あま)たちが守り継いできた聖地です。御祭神には、初代神武天皇の母であり、美と生命を司る女神玉依姫命(たまよりひめのみこと)が祀られています。
「女性の願いを1つだけ叶えてくれる」という伝承は、単なる現代の観光PRではありません。古来、命がけで素潜り漁を行う海女たちが、無事に家族のもとへ帰れるよう、また日々の平穏を保てるよう神仏にすがる切実な祈りから自然発生的に確立された地域固有の信仰体系です。海女たちの間では「石神さんに祈れば、どんな困難も乗り越えられる」と何世代にもわたり語り継がれてきました。
この信仰が全国的な脚光を浴びた決定的な契機が、2004年のアテネ五輪女子マラソンです。金メダルを獲得した野口みずき選手が、相差の石神さんのお守りを携えて過酷なレースを走り抜いた事実が報道され、スポーツ界や芸能界をはじめとする各界の著名人が次々と参拝に訪れるようになりました。現地関係者の証言によると、「決して派手な宣伝を行ったわけではなく、参拝後に人生の好転を実感した方々の生の声と口コミが静かに連鎖した結果」であり、確固たる信仰基盤がそこに存在します。