テレビ番組『マツコの知らない世界』で東大うどん部の有志が熱弁を振るったように、両者の「味の違い」は調理の根底にある思想から生まれています。
トリドールホールディングスが展開する丸亀製麺の真髄は、国内全店舗に製麺機を配置し、小麦粉、水、塩のみを用いて現場で一から打つ「完全店内製麺」にあります。客の視界に入る場所で生地が延ばされ、切り出され、大釜で茹で上げられる工程そのものが、小麦本来の豊かな香りと剛直なコシを生み出します。茹で上がりから一定時間を過ぎた麺は廃棄する徹底した鮮度管理により、噛み締めた瞬間の押し返すような弾力(グルテンの結合力)を実現している点が最大の特徴です。
一方、吉野家ホールディングス傘下のはなまるうどんは、本場・香川県高松市などの自社工場(セントラルキッチン)で練り上げた麺を、高度な温度・湿度管理のもと各店舗へ直送する手法を採用しています。この製法の強みは「驚異的な品質の均一性」です。職人の腕や店舗ごとのオペレーション習熟度に左右されず、いつ訪れても表面は滑らかで、中心部にかけて心地よい粘りとモチモチ感が持続します。さらに、麺1玉にレタス1個分の食物繊維を練り込んだ独自の「食物繊維麺」を標準採用しており、喉越しの良さと機能性を両立させています。
出汁においても、両者は明確に異なるアプローチをとっています。丸亀製麺のつゆは、数種類の削り節(サバ節、ウルメ節、カツオ節など)に北海道産真昆布を合わせ、店内で数時間おきに引いた関西風の重層的な旨味が特徴です。これに対し、はなまるうどんは讃岐うどんの伝統を頑なに守り、香川県伊吹島産の高級「煮干し(いりこ)」をベースに据えています。雑味のない透き通った黄金色のつゆは、煮干し特有の芳醇な香りとキレのある後味を持ち、飲み干したくなる優しさを備えています。