日本図書普及公式デザイン一覧を開くと、西洋絵画の巨匠による名画シリーズ、ピーターラビットなどの定番キャラクター、季節の草花など、洗練されたラインナップが並んでいます。そのなかで不動の販売数を誇るのが、つぶらな瞳でこちらを見つめる柴犬の写真があしらわれたカードです。
出版業界関係者へのヒアリングによると、柴犬デザインの人気を決定づけているのは「ノイズの少なさ」と「ネオテニー(幼形成熟)による心理的安心感」にあります。特定のアニメやキャラクターをあしらった図書カードは、子どもの年齢や性別、その時々のブームによって受け取る側の好みが激しく分かれます。一方、柴犬は世代や性別、趣味嗜好の壁を軽やかに飛び越え、受け取った誰もが一瞬で顔をほころばせる親しみやすさを備えています。
ラインナップが図書カード柴犬500円券と1000円券という低価格帯に集中している点も、現代のコミュニケーション様式に合致しています。高額な商品券や現金を渡すと相手に「内祝いを返さなければならない」という返礼のプレッシャーを生じさせがちですが、ワンコインから1000円の柴犬カードであれば、互いに負担を感じない軽やかな好意として手渡すことが可能です。「読書をしなさい」という押し付けがましさを、愛くるしい柴犬の表情が見事に中和してくれる点こそ、図書カード柴犬人気の理由まとめとして筆頭に挙げられる核心です。