もつ鍋の成否の8割は、鍋に火をかける前の下ごしらえで決まります。特に精肉店やスーパーで手に入る生の牛もつ(小腸やシマチョウ)には、表面に酸化した脂質やドリップが付着しており、これが加熱時に特有の獣臭を生む原因となります。
精肉卸の現場取材において熟練の職人が口を揃えるのは、「水洗いだけで済ませるのは最大の過ち」という点です。臭みを元から断ちつつ、旨味の核である上質な脂をしっかり残すための2ステップを実践してください。
ステップ1:小麦粉による吸着もみ洗い
ボウルに生もつ(約400g)を入れ、大さじ2杯の小麦粉(または片栗粉)と小さじ1杯の塩を振りかけます。水を加えずに、全体を優しく揉み込むように1〜2分マッサージします。小麦粉の微粒子が、もつのヒダに入り込んだぬめりや酸化脂質を物理的に吸着してくれます。その後、冷水で白濁がなくなるまで2〜3回しっかりと洗い流します。
ステップ2:沸騰湯で45〜60秒の秒速下茹で
鍋にたっぷりの湯を沸かし、酒大さじ2と生姜スライス(または長ネギの青い部分)を投入します。沸騰した湯にもつを一気に入れ、下茹で時間は45秒から最長でも60秒にとどめます。ここでもつを長く煮込んでしまうと、コラーゲンと甘みのある脂が湯の中に溶け出し、縮んでパサパサの食感になってしまいます。「表面のタンパク質を凝固させてアクを固める」感覚で引き上げ、すぐに冷水に取って氷水で締め、ペーパータオルで水気を完璧に拭き取ります。