「年金記録の訂正なんて、自分には関係のない大昔の話だ」と思い込んでいる人は少なくありません。しかし、現場の年金事務所窓口や各種コミュニティに寄せられる生の声をつぶさに検証すると、現代の50代〜70代、さらにはその遺族にまで及ぶ生々しいトラブルが今なお頻発しています。
特に多いのが、女性の結婚・離婚に伴う氏名変更の落とし穴です。大手掲示板や知恵袋、SNS上でも以下のような当事者の体験談が後を絶ちません。
「母が亡くなった後、遺品整理で古い厚生年金手帳が出てきた。結婚前の旧姓で短大卒業後に3年間だけ勤めていた繊維会社の記録だったが、母が生前受け取っていた年金証書にはその3年分が完全に抜け落ちていた。年金事務所で調べ直してもらったところ、旧姓のフリガナが濁点なしで誤登録されていたため名寄せから漏れていたことが判明。時効特例法のおかげで過去に遡って約120万円の未支給年金が遺族に支払われた」(50代男性・会社員の手記より)
また、昭和から平成初期にかけて頻繁に転職を繰り返した人や、学生時代の任意加入期間、倒産した企業に勤務していたケースでも深刻な記録漏れが確認されています。
「会社の寮に住み込みで働き、給与天引きで厚生年金保険料を引かれていたはずなのに、記録上は全額未納扱いになっていた」「当時の給与明細など残っていないため、年金事務所に『会社側が届け出を怠っていた証拠がない』と門前払いされそうになった」という切実な告白は、年金記録確認第三者委員会(現・総務省年金審査会等の系譜)に持ち込まれた典型例です。
国の台帳に記載がない場合、立証責任の多くを請求者側が背負わされるケースが依然として存在します。当時の社員証、同僚の証言、預金通帳の振込履歴、当時の確定申告書の控えなど、わずかな間接証拠をかき集めて初めて記録が認められた事例は枚挙にいとまがありません。