多くのユーザーが陥りがちな最大の錯覚は、「エンドツーエンド暗号化(E2EE)されているから100%安全」「匿名だから警察にもバレない」という思い込みです。ここにサイバー空間の致命的な盲点が存在します。
技術的に通信経路が暗号化されていても、受信者のスマートフォン画面に表示されたテキストや画像は、相手がスクリーンショットを撮影したり、別のカメラで撮影したりすれば一瞬で外部に流出します。暗号化は「通信途中での盗聴」を防ぐ技術であって、「対話相手の悪意」を防ぐ盾にはなり得ません。
また、「完全匿名」を標榜するサービスであっても、アプリを起動した端末のIPアドレス、接続日時、端末の固有識別情報(広告ID等)はサーバーに記録されています。重大な脅迫や詐欺事件が発生した場合、裁判所の令状に基づく捜査機関からの開示請求に対して、国内外を問わず正規の事業者は通信ログを提供します。「ネット上の匿名性」は、法的な責任を免れるための防壁ではないという冷酷な事実を認識しておく必要があります。