鼻の脇の赤みに対して、手元にあるステロイド軟膏を安易に塗り続けていないでしょうか。確かにステロイド外用薬は炎症を一時的に素早く抑え込むため、塗った直後は赤みが引いたように錯覚します。しかし、数日から数週間後に塗布をやめると前以上の激しい赤みやかゆみ、細かなブツブツが噴き出す現象に直面する利用者が少なくありません。
脂漏性皮膚炎に対してステロイドを長期連用すると悪化する理由は、ステロイドの持つ局所免疫抑制作用にあります。皮膚の免疫が抑えられることで、真菌であるマラセチア菌が何の後ろ盾もなく増殖してしまうのです。さらに連用が数ヶ月単位に及ぶと、毛細血管が拡張して皮膚が薄くなり、酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)という別の難治性疾患へと移行してしまうリスクが跳ね上がります。
両者を見分ける基準として、脂漏性皮膚炎は「鼻の脇のかゆみや黄色いかさぶた、脂っこいフケ状の皮むけ」が主徴となります。一方、酒さや酒さ様皮膚炎は「ほてり感、針で刺されたようなチクチク感、毛細血管が透けて見える赤み」が目立ちます。自己判断で外用ステロイドを鼻翼基部に塗り続ける行為は、火に油を注ぐ結末を招きかねません。