尖ったものを見た瞬間に「ゾクッ」と悪寒が走り、胸が苦しくなる――この激しい拒絶反応の正体は、脳内の警報装置である扁桃体(へんとうたい)の過剰防衛にあります。人間の祖先は、外敵の牙や角、鋭利な岩などから身を守ることで生存してきました。そのため、脳にはもともと「尖ったもの=眼球や内臓を傷つける致命傷のリスク」と認識する原始的なプログラムが備わっています。
しかし、何らかの理由でこの防衛本能の感度が高くなりすぎると、安全であるはずの文房具やテーブルの角に対しても、交感神経が一気にフル稼働してしまいます。その結果、アドレナリンが急放出され、脈拍の急上昇や動悸、血圧の急変によるめまいやふらつきといった身体症状が引き起こされるのです。ペンの先を向けられただけで体が固まるのは、意思の弱さではなく、脳が「目や身体を守れ」と猛烈なシグナルを発信している証拠にほかなりません。