『君の膵臓をたべたい』小説あらすじと結末の真相!涙の理由を徹底解剖

『君の膵臓をたべたい』小説あらすじと結末の真相!涙の理由を徹底解剖

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物語は、高校の図書委員を務める極めて内向的な男子高校生「僕」が、盲腸の手術痕の抜糸のために訪れた病院のロビーで、1冊の手帳を拾い上げる場面から静かに動き出します。表紙に手書きで記されていた題名は『共病文庫』。それは、同じクラスで誰からも愛される明るい人気者・山内桜良(やまうち さくら)が、膵臓の病によって余命が1年程度しかない現実を家族以外に隠して綴っていた秘密の日記帳でした。

秘密を偶然知ってしまった「僕」に対し、桜良は悲愴感を見せるどころか屈託のない笑顔を向けます。残された時間の中で「死ぬまでにやりたいこと」を叶えるパートナーとして、他人に全く興味のない「僕」を強引に連れ出すようになったのです。焼肉屋での食事、カフェでのスイーツ巡り、新幹線で向かった一泊二日の福岡旅行、そしてホテルの一室で行われた「真実か挑戦か」のゲーム。真逆の性格を持つ二人は、クラスメイトたちから怪訝な視線を浴びながらも、奇妙で濃密な時間を積み重ねていきます。

しかし、物語が終盤に差し掛かったとき、読者の予想を根底から粉砕する非情な転換点が訪れます。検査入院を終えて無事に退院した桜良と「僕」は、約束のカフェで待ち合わせをしていました。「僕」は彼女から届いたメッセージに対し、自らの魂の底から絞り出した言葉――「君の膵臓をたべたい」というメールを送信します。

ところが、約束の時間になっても桜良は現れませんでした。連絡も途絶え、困惑したまま帰宅した「僕」が夜のニュースで目にしたのは、あまりにも受け入れがたい現実でした。山内桜良は待ち合わせ場所へ向かう途中の街頭で、凶悪な通り魔に包丁で胸を刺され、即死状態で発見されたのです。

病による緩やかなカウントダウンを見つめていたはずの物語は、理不尽極まりない突発的な暴力によって断ち切られます。著者の住野よる氏がこの結末を用意した意図について、文芸誌のインタビュー等で繰り返し示唆されているのは、「命の不確実性と日常の尊さ」です。「明日死ぬかもしれないのは、病気の人も健康な人も全く同じである」という桜良自身の言葉通り、彼女の死は決して予定調和の感動装置としてではなく、人間が直面する生々しい現実として叩きつけられます。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。