どんなに優れた製品であっても、装着手順を誤れば患部の破壊につながります。高齢者膝サポーター付け方と注意点の基本は、必ず「膝を軽く曲げたリラックスした状態(約20〜30度屈曲位)」で装着を開始することです。完全に膝を伸ばした状態でガチガチに固定すると、歩行時に膝を曲げる自然な動きを阻害し、股関節や腰への二次的な負担を生み出します。皿の窓(オープンパテラ)がある製品では、膝蓋骨がお皿用リングの中央に正確に収まっているかを指先で確認することが鉄則です。
そして、臨床現場で医師が最も警鐘を鳴らしているのが、高齢者膝サポーター夜間就寝時の着用です。
「夜中に膝がうずいて眠れないから」とサポーターを着けたままベッドに入るシニアが少なくありませんが、これは医学的に極めて危険な行為です。就寝中は横臥位になるため、心臓と足の高さがほぼ同一になり、重力による血圧アシストがなくなります。その無防備な状態で外圧が加わり続けると、深部静脈の血流が著しく滞り、下肢静脈血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクが跳ね上がります。さらに、就寝中の寝返りによる摩擦で皮膚が擦れ、皮膚潰瘍や褥瘡を招く引き金にもなります。夜間の冷えによる痛み対策には、圧迫圧のまったくない「レッグウォーマー」や「綿混シルクのゆったりした筒当て」を用いるのが医学的に正しい選択です。