ネット上のスキンケア情報では「赤みや肌荒れには徹底的なセラミド補給」「ワセリンでバリア膜を作って乾燥を防ぐ」といったアドバイスが溢れています。しかし、口囲皮膚炎において過剰な保湿による悪化の真相は、医学的に極めて明確なタブーとされています。
油分の多いクリーム、美容オイル、高密閉バーム、ワセリンなどを口周りに塗り込むと、毛包漏斗部が油分で閉塞されます。密閉された毛包内は高温多湿な嫌気的環境となり、皮脂を好む微生物が爆発的に増殖します。さらに角層が水分過多(浸軟状態)に陥ることで角質細胞の結合が緩み、バリア機能が正常に働くどころか外部刺激物質の侵入を許してしまうのです。
また、盲点になりやすいのが歯磨き粉に含まれる成分です。発泡剤として汎用されるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)や高濃度のフッ素、強いミント香料が、炎症を起こしている口元の皮膚に接触することで化学的刺激を与え、難治化の隠れた原因になっているケースが多発しています。スキンケアを頑張れば頑張るほど悪化していくという皮肉な構造こそが、口囲皮膚炎の最大の罠なのです。