では、過酷な衝撃に耐えうる結び方とはどのようなものか。オリンピアンをはじめとするトップアスリートや実業団ランナーが取り入れている「靴紐がほどけない結び方」の代表格が、オーストラリアのイアン・フィーゲン氏が考案したイアンノット(Ian Knot)と、その上位互換であるイアンセキュアノット(Ian's Secure Knot)です。
イアンノットの結び方は、左右の手指にそれぞれ逆向きのループを作り、左右の輪を同時にすれ違わせて一瞬で引き抜く手法です。慣れればわずか1秒から2秒程度で結び終えることができ、しかも結び目の構造は摩擦抵抗の高い平結びそのものに仕上がります。駅伝やトライアスロンのトランジションなど、1秒のロスが生死を分ける競技現場で絶大な信頼を勝ち取っている理由がここにあります。
さらに長距離走やトレイルランニング、激しいフットワークを要求されるバスケットボールなどで重宝されるのがイアンセキュアノットです。通常のイアンノットの交差部を二重に潜らせる構造を持ち、激しい上下動や泥水による摩擦低下にさらされても、人為的に引っ張らない限り自発的に解けることが物理的にほぼ不可能です。スポーツ界で培われたこれらの結び方は、日常のスニーカー靴紐ほどけない対策としても極めて高い効果を発揮します。