使用貸借とは?「親族間タダ貸し」の落とし穴と賃貸借の違いを徹底解説についての真相をご紹介します。
使用貸借と賃貸借の性質を混同すると、法務および税務の両面で取り返しのつかない損失を被ります。司法書士や税理士の相談窓口に寄せられるトラブル事例を分析すると、両者の境界線に対する無理解が原因の8割以上を占めています。
項目使用貸借(タダで貸す)賃貸借(対価を得て貸す)編集部の見解・評価対価(賃料)の有無無償(固定資産税相当額以下の負担は無償とみなされる)有償(近隣相場や公租公課を明確に上回る賃料)少額の支払いがあっても実質「無償」と判定されるケースが多発借地借家法の適用適用されない(借主保護の規定なし)厳格に適用される(強行規定により借主を強力に保護)使用貸借の借主は対抗力を持たず、第三者への売却で立ち退きを迫られる相続税評価額の減額減額なし(自用地=更地評価100%)減額あり(貸宅地評価:借地権割合30〜70%等を控除)「身内に貸しているから」と安心していると相続税が跳ね上がる借主死亡時の扱い契約終了(原則として相続されない)賃借権が借主の相続人へ承継される民法第597条第3項の規定。同居遺族の居住継続で紛争になりやすい立ち退き料の請求権原則として請求不可明渡しや正当事由の補完として請求可能感情的対立が起きても借主側は金銭補償を勝ち取りにくい
実務上きわめて重要な論点が、固定資産税の負担と贈与税の関係です。「タダで借りるのは申し訳ないから、年間十数万円の固定資産税だけは借主が支払う」という取り決めは多くの家庭で行われています。最高裁判所の判例および国税庁の通達実務において、目的物に対する公租公課(固定資産税・都市計画税)に相当する金額以下の授受にとどまる場合、それは賃料ではなく「使用に伴う実費負担」とみなされ、依然として使用貸借の枠組みにとどまります。
一方で、固定資産税を大きく上回る金額を支払っているにもかかわらず相場賃料より著しく低額である場合、税務当局から「低額譲渡」や「経済的利益の供与」と判断され、差額に対して借主に贈与税が課税されるリスクが生じます。中途半端な金銭授受は双方にとって極めて不利に働くという事実を直視しなければなりません。