走行中や停車時に足元から響く不快な「キーキー」という音は、重大なトラブルの予兆である場合と、構造上の鳴きである場合があります。その音の正体を見分けることが、愛車を守る最初のステップです。
第一に疑うべきブレーキパッド異音キーキー原因は、ウェアインジケーター(摩耗警告片)の接触です。市販車のブレーキパッドの多くには、摩擦材が残り2〜3ミリになると露出する小さな金属プレートが組み込まれています。これがブレーキローター(回転する金属円盤)に接触することで、あえて甲高い金属摩擦音を発生させ、ドライバーに機械的に交換時期を知らせる仕組みになっています。ブレーキペダルを踏んだ時だけでなく、走行中に連続して「キーキー」「シャリシャリ」と鳴り響く場合は、インジケーターが作動している可能性が極めて濃厚です。
この警告音を無視して走り続けると、摩擦材が完全に削れ落ち、バックプレートの鉄板がローターを直接削り始めます。その瞬間に音は「キーキー」から「ゴリゴリ」「ガリガリ」という鈍い重低音へと変貌し、ホイール周辺には大量の鉄粉が飛び散ります。この段階に達すると、もはやパッド交換だけでは済まされません。
一方で、ブレーキパッドの残量が十分にあるにもかかわらず雨上がりや冬場の朝一番に「キキーッ」と鳴くことがあります。これはパッドとローターの接触面に付着した細かな埃や薄い錆、湿気による摩擦係数の変化、あるいは裏面のシム(防振プレート)に塗布された鳴き止めグリスの劣化・流出が原因であり、制動性能そのものに直結する危険は低いケースが一般的です。
また、メーターパネルに「ブレーキ警告灯」が突然点灯した際、多くのドライバーはパーキングブレーキの戻し忘れを疑いますが、パッドの摩耗が原因であることも珍しくありません。ブレーキパッドがすり減るにつれて、キャリパー内のピストンが深く押し出され、その分だけ配管内にブレーキフルード(作動油)が余分に流れ込みます。結果としてエンジンルーム内のリザーバータンクの油面が低下し、センサーが液面不足(MINライン以下)を感知して警告灯を点灯させるのです。フルードが漏れていないのに警告灯が点いた場合は、パッド残量が限界まで減っている明確なサインです。